不妊症基本用語
子宮
子宮は、厚い筋肉の壁で出来た袋状の構造をしていて、約8.5㎝(握りこぶしより小さい)の大きさで、骨盤内で膣の上部とつながり、子宮の上端部を子宮底、下部を子宮頚部と呼びます。子宮底の左右端は卵管とつながっています。これがお袋さんの由来です。
卵巣
左右に1対あり、親指大約3~4㎝ほどのやや平たい楕円形をしています。左右の卵管の下にある卵巣固有の靭帯で吊り下げられた様に位置します。うずらの卵くらいです。
卵管
子宮の左右に1対あり、長さは約10㎝の子宮と腹腔をつなぐ細い筒状の器官です。子宮の付け根から両側に太くなっていき、その先はイソギンチャクの触手の様な卵管采があり、卵巣から排卵した卵子を取り込む役目を持っています。精子と卵子は卵管内で受精します。卵管は、精子と卵子のデートの待ち合わせの場所です。精子くん送れないでね。
ホルモン検査
女性の場合は、月経周期に合わせて検査が行われます。月経期:FSH・LH、卵胞期:E2、排卵期:LH、黄体期:P4・E2
FSH:卵胞刺激ホルモン
卵胞を成長させるためのホルモンです。この値が高くなったら、卵子が熟女(オバサン)になってきていますよ。
LH:黄体化ホルモン
尿も卵胞を成熟させ、排卵の引き金を引くホルモンです。
E2(エストロゲン):卵胞ホルモン
子宮内膜を厚くし、子宮頚管粘液を増やすホルモンです。俗に言う女性ホルモンのセンターですね。
P4(プロゲステロン):黄体ホルモン
子宮内膜を着床しやすい環境に整えて、妊娠を維持するホルモンです。
経腟超音波(エコー)検査
卵胞の大きさを、子宮内膜の厚さを測定します。排卵期の卵胞は約20㎜以上に育つことから、排卵日の予測もします。何度やっても羞恥心が・・・。
HSG:子宮卵管造影検査
カテーテルを用いて、子宮から卵管に造影剤を注入して卵管の通過性を調べます。造影剤を流してレントゲンを撮影し流れていく様子を確認します。ほんの少しの時間ですが、お腹を壊した時の様な痛みがあります。
ヒステロスコピー:子宮鏡検査
子宮内の様子を直接観察します。胃カメラの子宮版です。痛みはほとんどありません。
子宮頚管粘液検査
頸管粘液が十分に分泌されているか観察します。フーナー検査と同時に行う事が多いです。精子は、頸管粘液の中で卵子に入る為の準備をします。デートの前にシャワーを浴びて、お洒落をする感じ。
フーナー(ヒューナー)テスト:性交後検査
性交後、精子が頸管粘液に入っているか観察します。子宮頸管粘液を採取し、顕微鏡で状態を観察して精子の数を調べます。ゼロの場合は、抗精子抗体が疑われます。1度の結果で判断出来ないので、落ち込まないでね。
PRL(プロラクチン)
プロラクチンは母乳を作るためのホルモンです。妊娠以降分泌量が増え、出産して赤ちゃんが乳首を吸うことでますます盛んに分泌される様になり、分泌の高い期間は排卵を抑制します。妊娠していないのにプロラクチンが高い場合は、排卵障害が起こることがあります。原因をさらに調べるために脳の検査をすることもあります。
甲状腺機能
値が高くても低くてもよくありません。機能に問題がある事でホルモンバランスが崩れやすく、無排卵や無月経になることがあります。また、着床障害や流産の要因になることもあります。
テストステロン(男性ホルモン)
男性ホルモンの1つで、この値が高いと排卵障害を起こすことがあります。インスリン値が高くなると、テストステロン値も高くなることから、インスリン検査をする事もあります。何故高いかが重要です。女性にも男性ホルモンは大切です。
抗精子抗体
精子を異物と判断する抗体が出来ているか確認します。精子を受け入れないで、やっつけちゃいます。女は強し。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)
卵巣に残されている卵胞数を予測する血液検査です。卵胞数は年齢を追うごとに低下していきますが、年齢ごとの正常値はなく、平均値や中央値から年齢相応かをみます。とても低い場合は閉経が近いことが示唆されます。今後の治療の指標にもなります。高いからって若くないよ。
精液検査
精液の量と精子の数、運動精子の数などを調べるのが精液検査で、WHOが発表する精液所見と照らし合わせて判断をします。精液検査が恥ずかしいと思われている男性よ。女性はもっと色々な検査をしています。
BBT(基礎体温測定)
卵巣の働きを知る為のもっとも重要な検査です。排卵が起こっているか、排卵まで何日かかっているか、月経が25~35日周期に整調にきているか、高温期が10日以上続いて黄体ホルモンが分泌されているか、などが分かります。無料なのに、こんなに色々な事が分かる検査です。面倒くさいと言われる方がいますけど、子育ての方がもっと大変ですよ。睡眠時間が不規則なお仕事の方は、連続して4~5時間の睡眠後の体温でも大丈夫です。
タイミング法
卵管の通過に問題が無い、排卵障害が無い、精液検査などに問題が無い、でも妊娠に至らない場合、血液検査、超音波検査などで排卵を予測し、夫婦生活(性交)の日の指導を受けるものです。
AIH(人工授精)
精液検査に多少の問題がある、または子宮頚管粘液が少ない、タイミング法で妊娠しなかった場合などに適応となります。排卵日に合わせて、精液を洗浄、濃縮し、運動性のある元気な精子だけを子宮内に注入します。
IVF(体外受精)
排卵に問題がある。卵管の通過性に問題がある。抗精子抗体がある。精子の数、運動精子の数に問題がある場合などに適応となります。卵子を体外に取り出し、体外で受精・培養し、子宮内に戻します。
ALICE
子宮の細菌の中で特に慢性子宮内膜炎の原因となる細菌を検出します。子宮内膜炎は内膜の基底層で起こります。